慶應義塾大学サイバー文明センター(CCRC)は、国内外のメディア、広告関連企業などとともに「オリジネーター・プロファイル(Originator Profile=OP)技術研究組合」の設立に際し、設立時のメンバーとして参加いたします。
オリジネーター・プロファイル(OP)技術は安全なインターネット環境を提供するための仕組みで、ブラウザなどで採用される「Web 標準」を目指しています。インターネット上のコンテンツ作成者、デジタル広告の出稿元などの情報を検証可能な形で付与する技術で、信頼できる発信者を識別可能にすることで第三者認証済みの良質なメディアとコンテンツを容易に見分けられる仕組みを確立し、フェイクニュースやアドフラウドなどの氾濫を抑止することにもつながります。
CCRCは、2020年に「良質なメディアと一般市民のメディアリテラシーを支援するWEB標準技術研究会(Web Standards and Technology Study Group to Foster Good Media and Media Literacy in the General Public)」を設立し、信頼できる情報ソースへの報酬提供が良質なメディア育成を助ける仕組み、及び市民が良質なメディアを見分けられる仕組みを提供するOP技術の研究開発を進め、産業界に提案してきました。
技術研究組合の設立に際し、OP技術研究組合の理事長に就任する村井純(慶應義塾大学教授・CCRC共同センター長)は次のように述べています。「情報技術(IT)の進歩は私たちの社会に様々な恩恵をもたらしました。インターネット、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などは社会に大きな利益をもたらす一方で、フェイクニュースなど有害な虚偽情報の拡散を許し、ニュースの信頼性が損なわれるなど負の側面も目立ち、大きな社会問題となっています。デジタル広告の分野でも、耳目を集めることを目的としたいわゆる『アテンション・エコノミー』の横行で市場の健全性がゆがめられてきました。
そこで私たちは『オリジネーター・プロファイル(OP)』と呼ぶ新技術を提案しました。デジタル化した符号でコンテンツ発信者の情報を開示する技術で、メディア、広告などで利用が進めば、ネット空間の健全性が保たれ、公益性を高めることにもつながります。
OPの実用化に向け、昨年12月に非営利共益法人『技術研究組合(CIP)』を設立しました。CIPとは、企業や大学などが協力して新技術開発を行う相互扶助組織です。設立したCIPの下、OPの実用化、社会実装を目指します。」
同組合は国内外のメディア機関や主要広告会社とも連携して、日本国内におけるOPの仕様策定と試験実装を進め、Web標準化と社会実装を目指す取り組みを進めていきます。そして、国内での研究で得られた知見をもとに、Web技術の標準化団体である W3C(World Wide Web Consortium) などにも提案をし、世界中の人々が安心して利用できる健全なインターネットの発展に貢献することを目指します。
■オリジネーター・プロファイル(OP)技術研究組合の概要
- 設立日 2022年12月15日
- 理事長 村井純(慶應義塾大学教授)
- 組合員 朝日新聞社、WebDINO JAPAN、産経新聞社、ジャパンタイムズ、中日新聞社、日本テレビ放送網、News Corp、fluct、毎日新聞社、Momentum、読売新聞東京本社(五十音順)
- 事務局長 クロサカタツヤ(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授)
- 本部所在地 東京都千代田区大手町1-7-1
- 事業内容 OP技術の開発と社会実装に向けたルール構築
- 組合ホームページ https://originator-profile.pages.dev/
- 良質なメディアと一般市民のメディアリテラシーを支援するWEB標準技術研究会ホームページ https://www.ccrc.keio.ac.jp/research/wgml/