サイバー文明研究センターは、2018年12月7日(金)に「KGRI Great Thinker Series – サイバー文明のプロローグ」を開催いたしました。当日は、ジョナサン・ケイブ教授(ウォーリック大学)、ジェラルド・ファルハーバー教授(ペンシルベニア大学)、リサ・ドリング教授(ローズモント・カレッジ)を迎え、インターネットテクノロジーが教育、ビジネス、文化、そして人類社会に与えたインパクトと、今後のチャンスや課題をテーマに公開講演をいたしました。 このイベントには政府機関をはじめ、高等教育機関、ビジネスのさまざまな産業に関わる150名以上の参加者が来訪いたしました。

(左から:敬称略) 村井純、ジョナサン・ケイブ、リサ・ドリング、ジェラルド・ファルハーバー、デビッド・ファーバー
サイバー文明研究センターの共同センター長である村井純教授は、冒頭のスピーチで過去8年間に起こった日本におけるインターネット利用の急速な展開を示したうえで、現代のサイバー時代における人間の行為や潜在的に影響を受けるであろう事象に目を向けることの緊急性について言及しました。

ご挨拶 村井 純博士(慶應義塾大学 サイバー文明研究センター 共同センター長)
最初の講演として、ウォーリック大学 シニアリサーチフェロー(経済学)であるジョナサン・ケイブ教授に「人類の意識をアルゴリズムが支配する時代。文明の構造変化と人間の判断基準や、あらゆる規制の枠組みについて」話していただきました。

ジョナサン ケーヴ博士:「機械と人間の限界が消滅する時代:アルゴリズムの支配」
2つ目の講演は、ペンシルベニア大学の名誉教授(ビジネス経済、公共政策)であり、連邦通信委員会、前チーフエコノミストであるジェラルド・ファルハーバー教授による「新しい経済の姿」でした。新しい経済における資源配分(再配置)と、転換によって生じる潜在的な非均衡の解決策について講演いただきました。

ジェラルド ファルハーバー博士:「新しい経済の姿」
最終講演をいただいたのは、ローズモント・カレッジの学長であるリサ・ドリング教授で「サイバー文明社会におけるリベラルアーツ教育の役割」について話していただきました。リベラルアーツと人道(道徳)教育の役割の認識の重要性や、将来の労働力で求められる新しいスキルセットや人工知能の倫理的配慮などの問題と、その取り組みについて講演をいただきました。

リサ ドリング博士:「技術社会におけるリベラルアーツ教育のあり方」
パネルディスカッションでは、上記3名の講演者に加え、経済産業省 情報・情報政策局メディアコンテンツ産業部長 高木美香氏が参加。「日本におけるサイバー文明の未来」というテーマで、 サイバー文明研究センターの共同センター長であるデビッド・ファーバー教授がファシリテーターを務めた。高木美香氏は、3つのセッションに触れつつも、現在の日本の制度やありように着目しながら議論を深めて下さりました。後段では、議論が聴衆に開かれ、議論は日本の特質に関連する話題などに広がっていった。

パネルディスカッション:「日本におけるサイバー文明の未来」

デイビッド・ファーバー博士(慶應義塾大学 サイバー文明研究センター 共同センター長)
イベント中では、情報技術と社会の相互作用の分野における以下の3つのテーマについて、慶応義塾大学の学部生が提出したものについて、デイビッド・ファーバー賞が発表された。
テーマ1:文明、社会、自己に対するつながりの意義
テーマ2:世代間に存在する仮想および物理世界のインフラストラクチャのセキュリティ
テーマ3:サイバー文明のリスクとレジリアンス
受賞者
最優秀賞(50,000円)
“Peer-to-Peer Experience Economy: Can Engagement with Strangers Bring Connectivity in Humanity?”
環境情報学部4年 Daum Kim
2等賞(20,000円)
“It’s Everywhere and it’s Vulnerable”
総合政策学部4年 高橋 理紗
“Virtual reality – the negative side and the measures”
総合政策学部3年 Xiaofan Liu
第3位(10,000円)
“Post-Capitalism: The Future of Economy in a Hyper-Connected Era”
総合政策学部4年 Andree Pratana

デイビッドファーバー賞 授賞式